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随想
岡崎 美奈江 さんの写真

地歌・箏曲演奏家

おかざき みなえ

岡崎 美奈江 さん

名古屋音楽大学邦楽専攻卒業・同大学院修了。名古屋市民芸術祭2012で市民芸術祭特別賞(箏・三絃リサイタル)、名古屋市民芸術祭2025で市民芸術祭賞(なごや古典らいぶ)受賞。 現在、名古屋音楽大学講師、生田流箏曲宮城社大師範、箏曲美卯の会主宰。東京生まれ。

名古屋での出会い

 私が名古屋の地に嫁ぎ30年以上が過ぎました。自分では名古屋人だと思うほど馴染んでいるつもりです。

 「芸どころ名古屋」、このフレーズを聞いたことはありましたが、幼少からピアノを習っていた私には、当時はあまりピンと来ませんでした。

 お箏を始めたのは、名古屋に来て間もない頃でした。きっかけは、名古屋に誰も知り合いのいない私に、義母が、何か習い事でもしたらと勧めてくれたことです。習うなら音楽系がいいなと考えていたところ、義母の実家で、昔義母が姉妹で演奏していたという古い箏に出会いました。

 素晴らしい師匠たちと出会えたことは、人生が変わったと言ってもいいほどのとても幸運なことでした。また、社会人入試制度を導入したばかりの名古屋音楽大学邦楽専攻への入学は、様々な分野の先生方と出会い、学びの多い大切な6年間でした。

 音大卒業後の活動のひとつとして、地歌をもっと演奏したい、いろいろな方に聴いていただきたいとの思いで企画したのが、「なごや古典らいぶ」の演奏活動です。

 同じ卒業生の絃方(箏・三絃)3名と地元の三流派(都山流、琴古流、竹保流)の尺八演奏家の先生方3名にご賛同いただき、伝統芸能であるお琴(箏)や三味線(三絃)は敷居が高いな、退屈かなと思っていらっしゃる方にも気楽に聴いていただけるよう、小さめの空間で、分かりやすい解説を加えた演奏会を毎年開催してきました。

 第10回の記念演奏会は名古屋能楽堂での開催を目標にした矢先、新型コロナウイルス感染拡大により足踏みをしてしまいましたが、2025年秋には無事に開催することができました。

 その「第10回なごや古典らいぶ」は名古屋市民芸術祭2025に参加し、市民芸術祭賞を受賞いたしました。これも、これまでご指導くださいました諸先生方、ご支援してくださいました皆様のお陰と感謝しております。

 昨今、古典芸能や古典音楽は大変厳しい状況にあると思います。ただ、さすが「芸どころ名古屋」だなと思うのは、たくさんのシニア層の方が「子どもの頃に使った当時の箏が家にあるので、もう一度演奏したい」と習いに来てくださることです。また、その方々がお孫さんやひ孫さんを連れて来てくださることもあり、現在は5歳から80歳代の方を指導させていただいております。義母の古い箏との出会いは、この名古屋で多くの方との出会いをくれました。

 時代時代を大切に弾き継がれてきた伝統楽器「箏」、伝統音楽でもある「地歌・箏曲」を次の時代に引き継いでゆく一人となれるよう、これからも精進して参ります。