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- 2025年 Autumn号
- 光輝燦然│金原 聡子 さん

声楽家(ソプラノ)・愛知教育大学准教授
きんばら さとこ金原 聡子 さん
東京藝術大学音楽学部声楽科卒業、同大学院修士課程修了。明治安田クオリティーオブライフ文化財団の助成及び、文化庁新進芸術家海外研修生としてボストンに留学。ロンジー音楽院オペラ科修了。第45回日伊声楽コンコルソ第二位。第11回名古屋音楽ペンクラブ賞受賞。令和6年度名古屋市民芸術祭賞受賞。愛知教育大学准教授。東京二期会会員。
光輝燦然 ~子どもの頃に感じた煌めきを、子ども達に~
私は小さい頃から、歌好きの父の影響からか、歌うことが大好きで、小学校4年生の時に、友達の誘いで名古屋少年少女合唱団に入団しました。先生方は厳しかったのですが、その中にも愛情があり、そして、子ども扱いせず真剣に指導してくださっていると感じていました。その先生方と音楽に触れるのが楽しみで、高校3年生の卒団まで、ほぼ休みなく通いました。合唱団では沢山の本番があり、本格的なオペラの子役や、オーケストラとの共演、海外遠征など、今振り返ると、とても貴重な体験をさせてもらいました。
コンサートで、舞台の上からみた景色に感動したのを覚えています。ピンと張りつめた空気が、私たちが歌い始めるとキラキラと輝き始め、鳥肌が立ちました。集中して一つの物を創る緊張感、舞台と聴衆が一体になる空気感、ホールの空間が音楽で煌めいている感覚を、肌で感じることができました。その心ときめく経験を、多感な子どもの頃にできたからこそ、私は今もなお、声楽を続けているのだと思います。
高校3年生から声楽を習うようになり、恩師から「大きな声の人は沢山いるけど、あなたはあなたの良さを大切にしなさい」と言われ、決して大きな声ではなかった私は、人と競うのではなく、清涼感のある輝く声で、聴きに来てくれた人が、爽やかな気持ちになってもらえるような音楽を奏でたいと思うようになりました。その後、アメリカに留学して、個性を大切にする風土で研鑽する中で、さらにその思いは強くなりました。自分の長所も短所も認識して、他人と比較するのではなく、自分の良さ、個性を伸ばしていけるよう、ひたすら声を磨くことを追及していきました。そして今でも、本番では、その声を通して、子どもの頃に感じたキラキラした音楽を伝えたいと思っています。
子どもの頃の経験というのは、人生を決める大きな要素の一つです。私自身、今、子どもを二人育てていて、私の子どもの頃と比較すると、現代人には生の感動体験が減ってきていると実感しています。ネット社会になり、実際に足を運ばなくても、大抵のことを知ることが出来るというメリットがある反面、人と人とがぶつかり合って、協同して何かをする機会が、少なくなっているように思います。世の中が変化していく中で致し方ないこともあるとは思いますが、子ども達が、心がときめく感覚を少しでも多く体験できる、そんな社会になって欲しいと願い、一助になれるように歌い続けると共に、後進の指導にも力を注いでいきたいと思います。
