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1年をふりかえって
洋舞

ナゴヤ劇場ジャーナル編集長 上野 茂 さん

 2025年、洋舞界のハイライトは、松岡伶子バレエ団の創立70周年記念公演「白鳥の湖」(11月30日・愛知県芸術劇場大ホール)である。バレエに限らず、同一主宰者による「70周年」は極めてまれで、チケットは当日までに全席が完売した。特筆すべきは、主役のオデット姫に新国立劇場バレエ団から小野絢子を迎えたこと。人材豊富な松岡バレエに、あえて客演を迎える必要があったのか、と指導者の松岡璃映に聞くと「今、日本で一番美しくオデットが踊れるのが彼女」と作品重視を強調。チケット完売も納得だ。

 さて、25年は中小のダンス公演にも優れたプログラムが続出した。現代舞踊協会中部支部では東区の徳川古民家ギャラリー結を会場に「モダンダンス・エクステンション」(2月1、2日)を開催。2日間で14組が出演し、日本古民家特有の空間で、趣向を凝らした創作舞踊を披露。日舞や演劇の経験がある中根千秋が、ギターの生演奏と朗読を交え、シュールな空間を描出したのが印象に残った。

 同月、名古屋洋舞家協議会が「Dance freedom’25」(2月11日・アマノ芸術創造センター名古屋)を実施。バレエ、モダン、ジャズなど16グループが出演し、演出とテクニックを競った。群を抜いたのは今村早伽の「verano porteño(ブエノスアイレスの夏)」。バレエとタンゴが混在するスリリングで官能的な振付で観衆を魅了した。

「ブエノスアイレスの夏」を踊る今村早伽

ダンスに演劇を交えた独自のスタイルを貫くナオミダンススクール(主宰・榊原菜生未)が40周年を迎え、記念公演「スパイラルアップ」(5月5、6日・千種文化小劇場)を行った。さまざまなキャリアを持つ36人の出演者が、戦時中から今日までの社会と風俗を舞踊劇でつづった。

 3人のコンテンポラリーダンサー(観月紀栄、服部絵里香、カジヤマテルヨ)がユニットを結成。初の劇場公演「月華」(8月8日・愛知県芸術劇場小ホール)を催した。心象的でたおやかなダンス、客席通路やキャットウォークを使った躍動的なパフォーマンス、工夫を凝らした照明…。どうしたら観客に喜んでもらえるのかを考え抜いた公演だった。

観月紀栄、服部絵里香、カジヤマテルヨの「月華」

 2025年の名古屋市民芸術祭舞踊部門からは2件の特別賞が選出された。深川秀夫作品に果敢に取り組んだ「アカデミー国枝バレエ」(11月30日・青少年文化センターアートピアホール)と、フラメンコ内田好美のソロ公演「徨Vagar」(11月9日・東文化小劇場)である。前者は若いダンサーたちの奮闘に好感。後者は日本人離れした演奏陣とオリジナリティーにあふれる内田のダンスに引き込まれた。

 年末にはジャズダンスの「studioM」(主宰・小田真砂世)の35周年記念公演「History」(12月6、7日・東文化小劇場)が光彩を放った。バレエ団やストリート系ダンスグループなど計5団体、総勢52人が出演し、ダンスの発祥から近年までを様々なダンススタイルで披露。観客に踊る楽しさ、見る面白さを堪能させた。