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- 2024年 Spring号
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ナゴヤ劇場ジャーナル編集長 上野 茂 さん
例年、東海地区の洋舞界はBALLET・NEXTの公演で幕を開ける。2023年は芸術監督・市川透(脚本、演出、振付)による「Swan Lake」。名作「白鳥の湖」の幻想世界を背景に、恋人を亡くし苦悩する青年の心理を視覚的に描出した、市川ならではの創作バレエ。野々山亮、山本恵里菜が主役を務めた(1月22日・刈谷市総合文化センター)。
コンテンポラリーでは、現代舞踊協会中部支部が市文化振興事業団との共催で「親愛なるMother Earth」を行った。出演したのは夜久ゆかり、こかチちかこ、石川雅実、石原弘恵が率いる4組。同じカテゴリーに属する4組だが、作品の志向は大きく異なった。制約のない現代舞踊の面白さと多面性を満喫した(1月28~29日・千種文化小劇場)。
塚本洋子テアトル・ド・バレエカンパニー出身で新国立劇場バレエ団のプリンシパルを務める米沢唯が帰郷。愛知県芸術劇場とDance Base Yokohamaが共催したコンテンポラリー「Rain」に主演した。米沢は、制作陣が練り上げた心理ドラマと一体化し、サマセット・モームの世界観を描出した(3月11~12日・愛知県芸術劇場小ホール)。
東海地区23のバレエ団で構成する日本バレエ協会中部支部。23年は「シンデレラ」を上演した。松岡伶子の原振付、松岡璃映と市橋万樹の再振付で、池下みのり(ステップ・ワークスバレエ)がタイトルロールに抜擢された。よく整理された明瞭簡潔な演出。ダンサーたちは繊細かつ躍動的なパフォーマンスで夢物語を成立させた(3月19日・市民会館フォレストホール)。
日本を代表するスターダンサーと、東海地区のアマチュアダンサー、振付家が共演する「グラン・ドリーム・バレエ・フェス」(東海テレビ主催)。今年は上野水香、倉永美沙、中村祥子、近藤亜香(名古屋市出身)らが来演。地元63のバレエ団から選抜されたダンサー173人が晴れの舞台を披露した(10月8~9日・愛知県芸術劇場大ホール)。
コロナ禍で延期されていた新国立劇場バレエ団の愛知初公演「ドン・キホーテ」には、前出の米沢唯が主役として出演した。技術、表現力、ダンサー個々の意識の高さ…、日本バレエ界の最高峰ならではのステージは圧巻。満場の観客はスタンディングオベーションで応えた(11月3~4日・愛知県芸術劇場大ホール)。
秋には地元の大手バレエ団が本公演を行った(会場はいずれも愛知県芸術劇場大ホール)。越智インターナショナルバレエは「海賊」を上演(11月11日)。ワディム・ソロマハを中心にした男性ダンサーのダイナミックな演技で魅了した。塚本洋子テアトル・ド・バレエカンパニーは深川秀夫と遠藤康行によるコンテンポラリー2本立て。実力本位のオーディションシステムを採用したキャスティングで眩いロマンの世界を表出(11月16日)。松岡伶子バレエ団は、主作品の「ジゼル」で悲しくも美しい幻想世界を演劇性豊かに描き上げた(12月10日)。
