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1年をふりかえって
邦楽 邦舞

CBCテレビ 調査役・金沢大学共同研究員 北島 徹也 さん

 一斉に会場取りに奔走、秋には百花斉放の公演数となったのも、コロナ禍ようやくの収束のおかげである。

 西川流家元 西川千雅は昨年に引き続き名古屋市公会堂での『名古屋をどりNEO傾奇者』(10月21日~22日)、ゲストに友近を迎え、「名古屋からくり事件簿」と題して明治時代の博覧会と安珍清姫に軸を置いた乱歩の推理劇に仕立て、名古屋演劇ペンクラブ賞を得た。

 同じく名古屋演劇ペンクラブ賞を得たのは五條園美。主宰する「芸能集団 創の会」の公演『幻想 平家物語』(6月3日~4日、名古屋市芸術創造センター 以下、「芸創」)のジャンルを超えた創造が舞踊劇の新たな可能性を示すものとして評価された。

創作舞踊劇『幻想 平家物語』

 五條園美は「やっとかめ文化祭」の『日本舞踊×バレエ公演』(11月11日、芸創)でも、洋舞とのコラボに尽力した。こうした創造のDNAは弟子にも受け継がれ『五條園小美リサイタル』(10月20日、北文化小劇場)では2つの創作に挑んだ。

 西川流は『長寿乃會』(5月20日、日本特殊陶業市民会館 以下、「市民会館」ビレッジホール)、鯉娘が「鐘ヶ岬」を舞った30周年となる『ふたり華』(9月30日、市民会館ビレッジホール)、『よし乃会』(11月19日、芸創)。

 花柳流では花柳朱実が振り付けた「雪の降る街を」が印象に残る『朱ざくら会』(8月9日、芸創)、花柳磐優は『美優会』(11月11日、名古屋能楽堂)で「紀州道成寺」を舞い、卒寿の花柳寿江女が『寿江女会』(10月8日、市民会館ビレッジホール)を催した。

 内田流は『るり千鶴会』(8月10日、名古屋能楽堂)で会主が「松の名所」を舞い、『創立70周年記念公演』(10月14日~15日、市民会館ビレッジホール)では家元 内田有美ほかで雄大な「富士」を見せた。

 赤堀流家元 赤堀加鶴繪は『赤堀会』(5月5日、市民会館ビレッジホール)で「広重八景」、また創作「陽喜踊」で不思議な世界を垣間見せた。瑞鳳流家元 瑞鳳澄依は「芸術鑑賞会」(8月27日、名古屋市公会堂)で「正札附」、自らのリサイタル(10月15日、北文化小劇場)の「影法師」と硬軟ともに仕上げた。

 珍しい公演では玉城流 琉球舞踊『山川昭子独演会』(10月15日、芸創)で、「かせかけ」「諸屯」などの古典舞踊に加えて創作舞踊も上演、「技芸賞」として名古屋市民芸術祭特別賞を得た。

 長唄は『名古屋長唄大会』(2月19日、芸創)のほか、杵屋勝桃・勝千華が『桃華の会』(5月14日、天白文化小劇場)で「杵勝三伝 虎狩」を演奏し、杵屋三太郎は主宰の『杵三会』(10月8日~9日、名古屋能楽堂地下稽古室)、昨年作曲した「恋の熱田めぐり」(安田文吉作詞)を立方も加え熱田神宮祈祷殿で、華やかに奉納演奏(10月22日)した。

 杵屋六秋・六春は『秋栄会』『おやこ会』(11月11日、今池ガスホール)で梅を主題とした2曲を演奏。
 三曲では『別所知佳 箏・三絃リサイタル-想い-』(11月30日、三井住友海上しらかわホール)で「ゆき」ほか古典曲4曲に挑んだ。

『恋の熱田めぐり』奉納演奏

 長年、名古屋の伝統芸能を支えてきた〝旦那衆〟の会である「邦楽 名吟会」が60回にあたる公演(11月26日、御園座)を以て最終公演となったのは非常に残念なことであるが、未来を担う世代が古典芸能に親しんでもらうきっかけ作りの試みの一環として、中区の正木小学校で『伝統芸能鑑賞会』(12月13日)が催され、杵屋三太郎が三味線の説明、さまざまな表現、杵屋六秋・六春らの長唄演奏での日本舞踊「藤娘」を市議でもある西川千寿鼓が舞った。大いにこうした活動を広げてもらい〝芸どころ〟の再興を図りたい。