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音楽ジャーナリスト 早川 立大 さん
三井住友海上しらかわホールが2月末で、30年にわたる音楽専用ホールとしての役割を終え、閉館した。会社の経営上の都合によるもので、音響抜群のここを本拠に活動していた地元音楽家たちの惜別コンサートが相次いだ。その中では、福本泰之ら教授陣の指揮で活力あふれる演奏を繰り広げた愛知県立芸術大学の弦楽合奏第18回定期演奏会(1月17日)、ピアニスト北村朋幹が初めて指揮を兼ね、モーツァルトやラヴェルのピアノ協奏曲を見事に弾き振りした名古屋フィルハーモニー交響楽団(以下、名フィル)のしらかわエクスプレス第4回「北村朋幹の世界」(2月9日)を挙げておく。
(2月9日三井住友海上しらかわホール)(撮影:中川幸作)
[声楽]オペラは全体に低調だった中、セントラル愛知交響楽団(以下、セントラル愛知響)が愛知県芸術劇場コンサートホールを会場としてオペラハイライトシリーズを開始した。第1回のプッチーニ『トスカ』(6月9日)、第2回のヴェルディ『椿姫』(10月6日)ともに4月から音楽監督に就任した角田鋼亮が指揮、優れた歌手陣を得て楽しめた。
リサイタルでは加藤佳代子ソプラノ・リサイタル「Time & Fate時と巡合」(12月5日、宗次ホール)が印象に残る。ジョン・ダウランドら17世紀前半の西欧作曲家たちの歌曲をリュートに伴われ、ヴィブラートのない澄み切った美声ですっきりと歌って出色だった。
[器楽] 名古屋に本拠を置く3つのオーケストラの活動が目覚ましい。名フィルは名誉音楽監督の小泉和裕が室内楽的なモーツァルトのディヴェルティメントK.334と大編成のチャイコフスキーの交響曲第4番を振り分けた第526回定期公演(9月13日~14日、愛知県芸術劇場コンサートホール)、セントラル愛知響では名誉音楽監督レオシュ・スワロフスキー指揮によるスメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲の第205回定期公演(7月12日、同)、愛知室内オーケストラでは大家ゲルハルト・オピッツを独奏者に得たブラームスの大作ピアノ協奏曲第1番と第2番の特別演奏会(12月4日、同)がいずれもずば抜けた出来栄えだった。
アンサンブルでは、この地方で活動する男性メンバーだけで結成された弦楽合奏団「Union“無頼派”」の旗揚げ公演が、カルウォーヴィチの弦楽セレナードなど珍しい作品を取り上げて話題となった(10月17日、電気文化会館ザ・コンサートホール)。逆に、名古屋音楽ペンクラブ賞の受賞者たちが出演してきた「音環」演奏会が10回目の今回でひとまず一区切りとなったのは寂しい(9月26日、同)。
室内楽集団レーベインムジークは進行中のシューマンの室内楽作品全曲演奏会の第5回から第7回までをこなし(3月10日、7月6日、12月24日、同)、ピアニスト石川馨栄子はラヴェルのピアノソロ作品を2回の演奏会で弾き切った(4月6日、9月28日、同)。両者とも高水準の出来だった。
