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1年をふりかえって
邦楽 邦舞

CBCテレビ 調査役・金沢大学共同研究員 北島 徹也 さん

 西川流家元 西川千雅は今年も岡谷鋼機名古屋公会堂(名古屋市公会堂)で3回目の『名古屋をどりNEO 傾奇者』(10/19、20)を開催、「名古屋ハイカラ華劇團」と題して、戦前戦後の二世鯉三郎の軌跡を重ねた。一方で今年は古典舞踊の会である『名古屋をどりCLASSIC』(3/23、24 御園座)も催し、〝日本舞踊も〟のエンタメ、〝日本舞踊を〟の古典という、西川流の両輪を見せた。千雅はまさ子、陽子と「雪月花」を舞い、鯉絵ほか「三社祭」と寿女司「傀儡師」、真乃女と京志郎「時雨西行」も印象に残る。

名古屋をどりCLASSIC』(3月23日 御園座)
「三社祭」(左から)西川貴美子、鯉粧、鯉絵

西川流では前年春と秋に二つの表彰を得た真乃女がその記念公演として『しのじょ会華真』(4/14 日本特殊陶業市民会館(以下、市民会館)ビレッジホール)を催し、「三曲糸の調」と創作「蜻蛉比翼」で古典と創作の力量を発揮した。また、京志郎が新たに主宰となって「菊水会」(11/24 御園座)を催し「文屋」を踊った。亡き菊次郎へのよき追善である。

 名古屋演劇ペンクラブ賞の記念公演『五條園美リサイタル』(3/18 名古屋能楽堂)で、園美が主宰する、流派・ジャンルを超えた芸能集団 創の会の作品から「夢の光芒-平家物語より-」と、荻江節「八島」、ともに平家物語にちなんだ演目を披露し、さらに「続平家物語小品集」(12/14、15 名古屋能楽堂けい古室)では、創の会メンバーが立ち替わり駅伝のような奮闘を見せた。

 「桜に舞う!~舞踊とともに~」(4/7 宗次ホール)で花柳朱実は、ショパンの「革命のエチュード」などをクラシックで見せ、名取55周年記念「朱ざくら會 朱実とひととき」(6/13 名東文化小劇場)で熟達の「藤娘」を舞った。「梅奈香会」(4/21 市民会館ビレッジホール)では「越後獅子」など子どもの活躍がみられ、花柳梅奈香は「鐘」で執念を、「助六」で侠客の闊達を表現した。

 赤堀加鶴繪は『赤堀会』(5/26 市民会館ビレッジホール)で、創作「舞甘露」を豪奢に演じ、平安絵巻のような「華」を端正に舞った。

 名残りが惜しまれるのは、舞納めに襟を正さしめるような「北州」での、工藤扇弥の舞台引退。『工藤会』(11/3 御園座)である。倉鍵は創作「天狐と蛇姫」でベリーダンスとの共演、寿々弥の更科姫と「紅葉狩」を出した。

工藤会(11月3日 御園座)
「北州」工藤扇弥

 稲垣舞比は山路遊子と「寒山拾得」を『豊美会』(7/21 市民会館ビレッジホール)で出し枯淡の境地を、友紀子は「おせん」の粋を表現した。

 『内田会』(10/12 市民会館ビレッジホール)で、有美は家元の静かな気迫が備わった「廓八景」、寿子は粉雪の風情の「雪まんじ」だった。『明珠会』(2/23 名古屋能楽堂)での、山村楽乃『八島官女』は前半の牧歌風と後半のけなげさの対比が妙味である。『芸術鑑賞会』(9/23 市民会館ビレッジホール)で瑞鳳澄依は「天下る傾城」という古い変化所作事の一部を出した努力が佳い。「第41回芝流 芝の会」(11/2 御園座)で千桜こと西川牟喜幸は「神田祭」を京志郎と情趣たっぷりに。

 今後期待したいのは、「舞初会」(4/20 昭和文化小劇場)での、結noKAIというグループで、稲垣舞比、内田有美、工藤彩夏、五條美佳園、西川古祐、花柳磐優、結月櫻が選曲、振付、演出まで話し合った作品「春夏秋冬~結び、繋げる」に至る活動である。

 長唄は、杵屋勝桃・勝千華『桃華の会』(5/19 天白文化小劇場)、杵屋見音代・見佳『見音代会』(6/1 八勝館)、杵屋六秋・六春『おやこ会』(11/9 今池ガスホール)などが催されたが、杵屋三太郎『杵三会』(11/24 日泰寺普門閣)では、三太郎襲名20年となることから歴代の三太郎とその門弟、関係者の追善法要も併せて行われ、また、三太郎は令和6年度名古屋市芸術奨励賞を受賞した。

 名古屋市民芸術祭の伝統芸能部門で邦楽からは、「絃衣の会佐藤亜衣 箏・三絃リサイタル」(11/14 電気文化会館ザ・コンサートホール)が特別賞となった。