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- 2023年 Spring号
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WEB「茶美会」編集長 長谷 義隆 さん
コロナ禍は第8波を経て3年。名古屋のダンスシーンはやっと息を吹き返しつつあるようだ。「ウィズコロナ」の時代と向き合い、表現の幅を広げ、異ジャンル協働に挑むアーティストの活躍が目覚ましい。
演出・振付家の浅井信好はその一人。共同主宰する「月灯りの移動劇場」は、ダンスと演劇を融合させた型破りな作品を2016年以来、名古屋から発信。10月20日に初演した新作「Silence」は、日本芸能の古層に流れる伏流水に光をあてた意欲作。全国6都市を公演ツアーをした。
スペイン舞踊を軸に和洋に活動の翼を広げる加藤おりは。神谷俊一郎率いる組太鼓集団が初演した異ジャンル融合の舞台「ジッグラト」(5月14~15日、ちくさ座)にヒロインとして出演し、その後全国3都市を巡演した。自身が復興の立役者となった古代舞「五十鈴たたら舞」を磨き上げ、躍動する太鼓と超絶技巧の応酬、古代の息吹を現代に共振させた。加藤はさらに演出・振り付けした「弦・踏・舞」(12月21日、名古屋能楽堂)では、五十鈴たたら舞をソロ、群舞からなる単独の舞台作品として構成し、新境地を拓いた。
現代舞踊では、倉知可英がダンスとピアノ(山内敦子)の掛け合いによる「白昼夢への誘い jardin secret 秘密の庭」(9月23日、ちくさ座)に挑んだ。ドビュッシーとサティの音楽に誘われ“秘密の花園”を巡る白昼夢の世界。倉知の演出が冴えた。
現代舞踊協会中部支部の合同公演「ダンスパラダイス2022」(9月19日、名古屋市芸術創造センター)は、中堅・ベテラン9作競演。石川雅実、伊藤麻子の師弟2作は群舞の練度、キレが際立った。黄砂を擬人化した服部由香里の群舞作品は奇想の環境保全ダンス。
バレエでは、岡田純奈バレエ団がコロナ禍にあっても定期公演を貫徹。「シンデレラ」(11月5日、愛知県芸術劇場大ホール)で、ダンサー育成の実りを見せた。塚本洋子率いるテアトル・ド・バレエカンパニーは雌伏3年、40周年記念の深川秀夫版「ドン・キホーテ」全幕(11月25日、愛知県芸術劇場大ホール)に総力を結集した。踊り手個々の才能、個性を際立たせる“深川節”の滋味、ウイットがあふれた追悼公演で令和4年度名古屋市民芸術祭特別賞を受賞した。越智インターナショナルバレエは、名古屋の師走のバレエ風物詩の孤塁を守って、34シーズン。「くるみ割り人形」(12月24日、日本特殊陶業市民会館)を満席にして、2022年の掉尾を飾った。
生涯第一線ダンサーとして活躍した現代舞踊家関山三喜夫が2月2日、91歳で逝去された。ご冥福をお祈り申し上げる。
(撮影:岡村昌夫(テス大阪))
