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1年をふりかえって
邦楽 邦舞

CBCテレビ 論説委員 北島 徹也 さん

人間国宝に認定された野村峰山

 収束に向かうかと思えば再び蔓延したりのコロナ禍、しかし2022年は公演も復興のきざしが見えた。

 西川流は『名古屋をどりNEO傾奇者』(10月15〜16日、名古屋市公会堂)で会場ぐるみのイベント化を試み、中でも徳川宗春を題材にした「NEO 舞踊劇名古屋心中」は、BOYS AND MENが出演したり多様な演出で話題となった。一方、古き時代を偲ぶ『鯉女一門追善舞踊会』(3月27日、日本特殊陶業市民会館 以下「市民会館」ビレッジホール)を弟子たちが催し、えつ、真乃女、珠未による「おもかげ」が舞われた。

 艶冶な舞台姿が印象に残る西川流の重鎮、西川菊次郎が12月26日に急逝された。ご冥福をお祈り申し上げる。

 『第百七回 工藤会』(8月18日、愛知県芸術劇場大ホール)は三世宗家扇寿の追善、倉鍵・寿々弥・彩夏の家元一家による「戻駕」、扇弥は「年増」を手向けた。

 『赤堀会』(6月5日、市民会館ビレッジホール)は先代家元鶴吉五十回忌追善として、加鶴繪の「ひがし山」のほか、歴代が振り付けた舞踊を披露した。

 『第26回 五條園美リサイタル』(11月26日、名古屋能楽堂)は荻江節「八島」に想いを込め、創作「いちょうの実」は弟子たちが活躍、園千代と美佳園は引き続き、同会場で『2019年名古屋市民芸術祭賞受賞披露 第7回 桜美の会』を催した。園美が主宰する『芸能集団創の会公演』(7月9日、名古屋能楽堂)で園美は創作「吉野山幻想」、「夢の光芒~平家物語より~」を披露。ジャンル、流派を超えた出演の顔ぶれである。

 稲垣流『第七十一回 豊美会』(12月18日、名古屋能楽堂)では舞比が「二人椀久」を、友紀子が「伊勢参宮」を品良く仕上げた。

 『瑞鳳澄依リサイタル』(10月29日、名古屋能楽堂)は「茶音頭」をはじめ3曲を舞ったほか、「御座敷尽くし」が楽しく賑やかな趣向だった。宗家藤間流は勘楊主宰『第31回 秋の舞踊会』(10月30日、北文化小劇場)で勘之介が「老松」を、また開演前に日本舞踊の舞台体験を企画、その中から小学生の入門者も出ているそうである。『第69回 内田流舞踊会』(11月4日、市民会館ビレッジホール)は寿子の「お吉夢幻」が演劇的な味わいも見せた。

 花柳流では、『遊の会』(5月8日、名古屋市芸術創造センター)を衛宗が催し「お吉玉椿」がおきゃんな雰囲気を出した。朱実はとにかく社中の修練の場を、と浴衣会『納涼 朱ざくらの会』(8月20日、名東文化小劇場)を催し、西川真乃女と「三社祭」、また『箏に舞う!』(10月4日、宗次ホール)で箏曲正絃社と共演、気を吐く。寿江育世は新たに『いくよの会』(10月30日、市民会館ビレッジホール)を立ち上げ盛会だった。自身は雪岱写しの「おせん」、一人で舞い切る振付での「紀州道成寺」は華やかさの後、舞台に残る静かな無常感が印象的だった。

 さて、長唄では杵屋三太郎『杵三会』(10月23日、名古屋能楽堂)では安田文吉作詞の新曲「恋の熱田めぐり」が披露され、杵屋六秋・六春『第五十八回 秋栄会』『第二十八回 長唄おやこ会』(11月12日、今池ガスホール)は2022年大河ドラマの鎌倉時代をテーマに「賤の苧環」「五郎時致」で、二つの会ともに多く出演した弟子たちに芸どころの底力を感じた。

いくよの会「紀州道成寺」

 三曲は、岡崎美奈江が『箏・三絃リサイタル』(10月22日、電気文化会館ザ・コンサートホール)で「八重衣」はじめ4曲を演奏し、竹本知子は『箏リサイタル2022』(11月3日、電気文化会館ザ・コンサートホール)で令和4年度名古屋市民芸術祭賞を得た。

 2022年の快挙は、重要無形文化財保持者(人間国宝)に尺八奏者の野村峰山が認定されたことである。この制度の開始以来、当地方で芸能部門での認定は初めてのことだが、これまでも初代中尾都山からの都山流尺八楽の軌跡を辿った連続演奏会や〝縦書きを横書きに〟と五線譜化、それらを収めたCDも高く評価されている。その卓越した技量とともに後進への指導、継承に大いに手腕を奮っていただきたい。